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帝王切開|子宮にやさしい縫合で、出産後の人生も守る帝王切開

帝王切開とは

帝王切開とは帝王切開とは、お腹と子宮を切開して赤ちゃんを出産する方法です。経腟分娩(産道を通しての出産)では安全に出産できないと判断された場合に選択され、赤ちゃんとお母さんの命を守るための大切な選択肢です。

計画的に行う「予定帝王切開」と、分娩途中で必要となる「緊急帝王切開」があり、どちらの場合も赤ちゃんとお母さんの安全を最優先に考えて実施します。帝王切開は手術であるため、術前の準備や術後の回復期間が必要ですが、適切な医療管理のもとで安全に行われる分娩方法として広く行われています。

一方で、「手術が怖い」「傷が残るのが心配」「次の妊娠に影響があるのでは」と不安を感じる方もおられるでしょう。フジハラレディースクリニックでは、そうした不安に丁寧に向き合いながら、出産後の女性の健康まで見据えた帝王切開を行っています。

帝王切開後に起こりうる
「子宮のくぼみ(CSD)」
について

帝王切開後、子宮を切開した部分が薄くなったり、内側に小さなくぼみができることがあります。これは「子宮峡部創陥凹(CSD:Cesarean Scar Defect)」と呼ばれ、近年、世界的に注目されている帝王切開後の合併症です。

帝王切開後、女性の約60%にこのCSDが生じ、そのうち約25%では残存する子宮の筋肉の厚み(残存筋層厚)が3mm未満にまで薄くなる大きな欠損を伴うといわれています。CSDは帝王切開という医療行為に起因して生じるもの(医原性)であり、月経異常(生理後に出血や茶色いおりものが長く続く)、月経困難症(生理痛がひどくなる)、不妊症といった症状を引き起こす「帝王切開子宮瘢痕症(CSDi)」へと進行し、女性のQOL(生活の質)を著しく低下させることがあります。

フジハラレディースクリニックでは、帝王切開をただの「手術」として終わらせるのではなく、術後の女性の人生を見据え、CSD予防に最大限配慮した縫合技術で帝王切開を行っています。

当院の帝王切開の3つの安心

子宮にやさしい縫合法

当院では、内側の筋肉をしっかり合わせ、外側でもう一度やさしく覆う2層連続縫合法を採用しています。いわば「二重のフタ」をするように丁寧に縫合することで、子宮の切開部にくぼみ(CSD)ができにくいよう配慮しています。

螺旋状バーブ構造を有する特殊な吸収糸(有棘糸)の採用

当院では、螺旋状のバーブ(とげ)構造を有する新しい吸収糸を使用しています。この糸が帝王切開に効果的であることを岡山大学在籍時代に世界的に証明させていただきました。この糸は、強く引っぱらずに傷口をぴったり密着させることができ、結び目も少なくゴロつきにくいという特徴を持ちます。糸の特性を活かした三次元的な組織把持力により、確実で均等な創部修復を実現し、現在も多くの病院で用いられている従来の縫合糸の弱点を回避することで血流阻害を最小化します。子宮のような収縮と弛緩を繰り返す動的な臓器に対して特に適しており、創陥凹の発症軽減が期待されます。

螺旋状バーブ構造を有する特殊な吸収糸(有棘糸)の採用

婦人科診療で術後フォローも充実

帝王切開後は、次の妊娠まで見据えた継続的なフォローを行います。術後は超音波検査(エコー)で子宮の傷の治癒状態を確認し、生理の不調や次の妊娠のタイミングについても一緒に考えていきます。帝王切開で出産を終えた後も、安心して日常生活や育児に臨んでいただけるようサポートしています。

科学的に証明された縫合技術

私は、螺旋状のバーブ構造を有する新しい吸収糸を用いた2層連続縫合法がCSD予防に有効であることを、多くの病院と連携した質の高い大規模臨床研究(SPIRAL試験:有棘糸110人 vs 従来の編みタイプの吸収糸110人)により科学的に証明しました。本研究は2023年7月より内閣府地方創生事務局主体の「先端的サービスの開発・構築等に関する調査事業」にも採択されています。

本試験の結果では、産後に子宮の傷が薄くなった人の割合(CSD発生率)が有棘糸群で約29%であったのに対し、従来の縫合糸群では約68%と大きな差が認められました。さらに、生理時の不快症状が出やすいとされる「危険な薄さ(残存筋層厚3mm未満)」になった方は有棘糸群ではわずか2人にとどまり、非常に良好な結果を示しました。

この研究成果は、世界3大産婦人科雑誌のひとつであるアメリカ産科婦人科学会の周産期雑誌「American Journal of Obstetrics and Gynecology MFM」に掲載されています。また、国際的な医学雑誌「International Journal of Gynecology & Obstetrics」にも関連研究が掲載されており、国際的に高い評価を受けています。

世界に広がる
CSD予防の取り組み

有棘糸による縫合技術は、日本国内にとどまらず世界中の産婦人科医に広がりつつあります。国内では47都道府県中28都道府県で技術指導セミナーやハンズオントレーニングを実施し、2024年にはシンガポール・タイ・マレーシアなど東南アジア3カ国でもシンポジウムの講師を務めました。

本研究をきっかけに、世界中の産婦人科医が同様の方法を取り入れ、帝王切開後の女性の健康を守る方向に動き始めています。日本における有棘糸の使用率も、研究開始当初のわずか1%から大きく伸び、産婦人科領域における帝王切開縫合の新たなスタンダードとして認知されつつあります。

帝王切開の流れ

帝王切開は、赤ちゃんとお母さんの安全を守るために行われる手術です。当院では手術前の準備から退院後のケアまで、丁寧にご説明しながら進めていきます。

術前には妊婦健診で母体と赤ちゃんの状態を継続的に確認し、手術の方法やスケジュール、麻酔の説明などを事前に行います。手術当日は、麻酔科医との連携のもと安全な麻酔管理を行い、院長が子宮にやさしい縫合技術で手術を実施します。術後は母体の回復を丁寧に見守りながら、赤ちゃんとの早期接触や授乳のサポートも行い、退院までの期間を安心して過ごしていただけるよう体制を整えています。

正常分娩と帝王切開(予定の方)の入院のスケジュールについて

帝王切開の後の傷あとケアー
肥厚性瘢痕・
ケロイドを防ぐために

帝王切開の傷あとは、おなかの表面に残る目に見える傷です。多くの場合は時間とともに薄く目立たなくなりますが、体質や傷の状態によっては「肥厚性瘢痕(ひこうせいはんこん)」や「ケロイド」と呼ばれる、傷あとが赤く盛り上がったり、硬くなったりする状態になることがあります。

日本人を含むアジア人は、欧米の方と比較して肥厚性瘢痕やケロイドが生じやすい傾向があることが知られています。近年の国内研究では、帝王切開後の女性の約66%に異常な瘢痕形成が認められ、そのうちの多くが肥厚性瘢痕であったことが報告されています。

肥厚性瘢痕やケロイドは、見た目の問題だけではありません。傷あとの痛みやかゆみが続くことで、赤ちゃんを抱き上げる、授乳の姿勢をとる、おむつを替えるといった日常の育児動作に支障が出ることがあります。また、おなかの傷が目立つことへの精神的なストレスは、ボディイメージの低下や自信の喪失につながり、産後うつのリスクを高める要因になりうることも研究で示されています。帝王切開後の傷あとのケアは、美容の問題にとどまらず、お母さんの心身の健康と安心した子育てを支えるために大切な産後ケアのひとつです。

当院では、術中の丁寧な皮膚縫合はもちろん、術後の傷あとケアにも力を入れています。帝王切開の傷は、表面がふさがった後も皮膚の下層の修復には数か月を要するため、術後の適切な管理が肥厚性瘢痕やケロイドの予防にとって非常に重要です。当院では、傷の状態に合わせたテープによる保護・圧迫療法のアドバイスや、経過観察を丁寧に行い、傷あとが目立たないようきめ細かくサポートしています。「傷のことが気になるけれど、どうケアしたらいいかわからない」という方も、遠慮なくご相談ください。

帝王切開後の継続サポート

帝王切開後の継続サポート帝王切開後は、体の回復だけでなく心の変化も起こりやすい時期です。当院では、術後の体調管理はもちろん、産後の気持ちの揺らぎにも目を向け、無理のない回復を支える体制を整えています。

目に見えるおなかの傷についても最大限肥厚性瘢痕やケロイドが予防できるように丁寧に手術を行っています。傷は術中だけでなく術後の管理が大変重要なので、しばらくアドバイスをしながら、対応していきますのでご安心ください。

超音波検査による子宮の傷の治癒確認、産後の体調チェック、母乳育児に関する相談、育児に伴う身体の不調への対応など、出産後も継続的にサポートを行います。「帝王切開がゴール」ではなく、その先の子育てや日々の生活まで見据えた支援を大切にしています。

帝王切開後の創部の違和感や月経異常により育児に支障があることがあります。お母さんと赤ちゃん双方にとって無理のない形を一緒に考え、それぞれのペースに合ったスタイルを尊重しています。

帝王切開に関する
よくあるご質問

帝王切開後、次の妊娠は可能ですか?

はい、可能です。多くの方が帝王切開後に次の赤ちゃんを授かっています。当院では、初回の帝王切開時から次回妊娠を見据えた縫合を行い、術後も定期的に子宮の状態を確認します。「いつ頃から次の妊娠を考えられるか」も、一緒に相談していきましょう。

有棘糸(Barbed Suture)は安全ですか?

はい、安全性は確立されています。大規模臨床研究(SPIRAL試験)で効果と安全性が科学的に証明されており、国内外の多くの医療機関で使用されています。研究成果はアメリカ産科婦人科学会の周産期雑誌にも掲載されています。

傷跡は目立ちますか?

下腹部の横切開(ビキニライン)で行いますので、下着や水着で隠れる位置になります。縫合も丁寧に行い、できるだけ目立たないよう配慮しています。傷を目立たないようにするためには産後のケアーが重要です。ご一緒に対応させていただき、時間とともに、傷跡は徐々に薄くなります。

既往帝王切開があります。次回の出産方法は?

既往帝王切開がある場合、次回も帝王切開をお勧めすることが一般的です。ただし、条件によっては経腟分娩(TOLAC/VBAC)が可能な場合もあります。妊婦健診時に子宮の状態を確認しながら、リスクとメリットを十分に説明し、一緒に最適な方法を決めていきましょう。興味がある方は、ぜひご相談ください。

帝王切開後に生理の異常や不調を感じた場合はどうすればいいですか?

帝王切開後に生理後の出血が長引く、茶色いおりものが続く、生理痛がひどくなるなどの症状がある場合は、帝王切開子宮瘢痕症(CSDi)の可能性があります。当院では術後の超音波検査によるフォローを行っておりますので、気になる症状があればお気軽にご相談ください。

 

関連する主な研究業績

国際学術雑誌への掲載(*責任著者)

  • Nakatou H, Maki J*, Mitoma T, et al. Objective assessment of cesarean section suturing techniques using a uterine simulator. Scientific reports 2026.
  • Suemori A, Maki J*, Ooba H, et al. Reassessment of pelvic radiographic measurements for delivery prediction using machine learning. Computer Methods and Programs in Biomedicine Update. CMPBUP-100231.2026.
  • Maki J*, Mitoma T, Ooba H, Nakatou H, Mishima S, Tani K, Eto E, Yamamoto R, Yamamoto D, Kai K, Tamada T, Akamatsu K, Kawanishi K, Masuyama H. Barbed vs conventional sutures for cesarean uterine scar defects: a randomized clinical trial. Am J Obstet Gynecol MFM. 2024; 6: 101431.
  • Maki J*, Nakatou H, Tani K, Eto E, Hayata K, Yamamoto D, Kai K, Tamada T, Akamatsu K, Kawanishi K, Nakamura K, Masuyama H. The Spiral Trial: A multicenter, randomized, controlled trial of Spiral thread sutures versus conventional thread sutures to prevent thinning of uterine scars following elective cesarean section. Contemp Clin Trials. 2021 Aug; 107: 106449.
  • Ooba H, Maki J*, Masuyama H. Evaluating the impact of a trial of labor after cesarean section on labor duration: a retrospective cohort study. BMC pregnancy and childbirth 24(1) DOI: 10.1186/s12884-024-06744-0,2024
  • Yui N, Michihisa S, Maki J, Tsubasa K, Hisashi M, Shigeki Y. Successful myomectomy using barbed sutures at 15 weeks of gestation: A case report. Case reports in women's health. 2023; 39 e00550.

著書・論文

  1. 牧 尉太*:岡山大学病院産科婦人科の手術 創部の菲薄化予防を意識した創部縫合 Nicheを意識した標準帝王切開術,池田智明,増山 寿,橘 大輔編,メディカ出版,大阪,pp68-74,2024
  2. 牧 尉太*:【周産期(産科)の手術の工夫-筆者はこうしている】帝王切開術 筋層縫合法 新しい縫合糸による筋層縫合 周産期医学 54(8):1084-1088,2024
  3. 牧 尉太*:帝王切開-疾患構造の変化に対応する新たな取り組み- 子宮創部菲薄化低減を目指す糸の役割 Barbed Sutureによる無結紮子宮再建 日本周産期・新生児医学会雑誌 59(4):479-481,2024
  4. 牧 尉太*:【帝王切開のネガティブ・インパクトの克服と新たな取り組み】ネガティブ・インパクトの回避に向けた取り組み 有棘糸を用いた子宮筋層縫合法 産婦人科の実際 73(3):243-248,2024
  5. 牧 尉太*:帝王切開創部の菲薄化予防の試み 日本産婦人科医会報 76(5):8-9,2024
  6. 牧尉太*. 帝王切開に起因する合併症の軽減に向けて -帝王切開創部菲薄化を回避するために- 日本女性栄養・代謝学会誌 29(1): 102-103, 2023.

招聘講演・シンポジウム(一部抜粋)

2024年以降、年間60件を超える講演依頼をいただき、産婦人科医師の帝王切開術の質の向上と、女性の産後の生活をより楽しく幸せを感じていただく啓発活動をしてまいりました。2024.2025年には、ドイツや東南アジア4カ国(インドネシア・マレーシア・タイ・シンガポール)、また同年、中国で私の行う帝王切開術を学びたいという声をいただき計4回海外講演ツアーをしております。

  • Maki J.〈招聘講演〉「SDGs based STEP-UP to prevent thinning of uterine scars following cesarean section」OBGYN APAC Masters Series. 2021.10.21
  • 東南アジア3カ国(シンガポール・タイ・マレーシア・インドネシア)でのBarbed Sutureシンポジウムツアー講師(2024年10月13-17日)
  • 東南アジア4カ国(シンガポール・タイ・マレーシア・インドネシア)でのBarbed Sutureシンポジウムツアー講師(2025年4月20-26日)
  • 中国6省でのBarbed Sutureシンポジウムツアー講師(2025年9月18-24日)
  • 東南アジア(シンガポール・タイ)・オセアニア(ニュージーランド)・インド・中国・日本の帝王切開術の質の向上に関するAPEC会議開催(主催者として登壇)
  • 全国各地(35/47都道府県で講演)での子宮縫合産婦人科医師へのハンズオンセミナー開催(2021-2026年)

この記事の執筆者

理事長・院長 牧尉太

資格

  • 医師免許取得(第495525号)
  • 日本産科婦人科学会認定専門医指導医
  • 日本周産期・新生児学会 周産期(母体・胎児)専門医指導医
  • 日本女性医学学会認定女性ヘルスケア専門医指導医
  • 医学博士(医学)(岡山大学 甲第6127号)
  • 厚生労働省臨床研修指導医
  • 女性心身医学会認定医
  • 厚生労働省指定オンライン診療研修修了
  • ALSO-Japan指定認定インストラクター(ディレクター)
  • J-CMELS認定コースディレクター
  • 災害時小児周産期リエゾン
  • 日本DMAT隊員
  • 日本医師会認定産業医

専門分野

  • 周産期医学全般(帝王切開縫合/前置胎盤癒着判断)
  • 女性ヘルスケア(産後ケア, 骨盤臓器脱, 漢方, 更年期など)
  • 産科救急・教育・搬送システム
  • AI/IoT関連
  • 地域創生, 医療DX
  • プロジェクトマネージメント
  • 持続可能性Wellbeing施策

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