- ミレーナとは
- ミレーナで治療対象となる主な症状
- ミレーナが向いている方
- ミレーナが向いていない方・注意が必要な方
- ミレーナの効果
- ミレーナの避妊効果について
- ミレーナ装着までの流れ
- 装着後の経過と定期検診
- ミレーナの副作用・デメリット
- ミレーナの費用
- ミレーナと低用量ピルの違い
- ミレーナを検討されている方へ
- ミレーナのよくある質問
ミレーナは、子宮内に装着する小さなT字型の医療機器です。子宮内で黄体ホルモンの一種であるレボノルゲストレルを少量ずつ放出し、子宮内膜が厚くなりすぎるのを抑えることで、月経量の減少や月経痛の軽減が期待できます。
「ミレーナ」と聞くと避妊器具というイメージを持たれる方もいますが、現在では避妊目的だけでなく、過多月経や月経困難症の治療選択肢としても使用されています。生理の量が多い、生理痛が強い、毎月の月経によって日常生活に支障が出ているといった方にとって、長期的に症状をコントロールする方法の一つになります。
特に、毎月の生理痛で鎮痛薬が手放せない方、経血量が多くナプキンの交換回数が多い方、貧血を指摘されている方、低用量ピルの服用が難しい方などでは、診察のうえでミレーナによる治療を検討することがあります。
当院では、患者さまの症状、子宮や卵巣の状態、今後の妊娠希望、これまでの治療歴などを確認したうえで、ミレーナが適しているかを丁寧に判断いたします。
ミレーナとは

ミレーナは、子宮内黄体ホルモン放出システムと呼ばれる医療機器です。子宮内に装着すると、レボノルゲストレルという黄体ホルモンが子宮内で持続的に放出されます。
このホルモンは主に子宮内膜に作用し、内膜が厚くなるのを抑えます。月経は、厚くなった子宮内膜がはがれ落ちることで起こるため、内膜の増殖が抑えられることで、月経量が減り、生理痛の軽減も期待できます。
ミレーナは一度装着すると、最長5年間効果が持続します。毎日薬を飲む必要がないため、服薬管理が苦手な方や、長期的に月経症状を抑えたい方にとって選択肢となります。
また、ホルモンが主に子宮内で作用するため、内服薬に比べて全身へのホルモン影響が比較的少ないとされています。ただし、すべての方に適している治療ではないため、装着前には診察や検査によって適応を確認する必要があります。
ミレーナで治療対象となる主な症状
ミレーナは、主に過多月経と月経困難症に対して使用されます。
過多月経とは、月経量が通常より多く、日常生活に支障をきたす状態です。ナプキンを頻繁に交換しなければならない、夜用ナプキンでも漏れてしまう、レバー状の血の塊が多い、月経のたびに貧血症状が出るといった場合は、過多月経の可能性があります。
月経困難症とは、月経に伴って強い下腹部痛、腰痛、頭痛、吐き気、だるさ、下痢、気分不良などが起こり、日常生活に支障が出る状態です。鎮痛薬を飲んでも効きにくい、学校や仕事を休むことがある、毎月の月経が憂うつになるほどつらいという方は、治療を検討することが大切です。
ミレーナは、子宮内膜の増殖を抑えることで月経量を減らし、月経痛の原因となる子宮内膜からの刺激を軽減することが期待されます。症状によっては、子宮内膜症や子宮腺筋症に伴う月経痛や過多月経の改善を目的として検討されることもあります。
ミレーナが向いている方
ミレーナは、次のようなお悩みがある方に適している場合があります。
①生理の量が多く、生活に支障がある方
月経のたびにナプキン交換が頻回になる、外出や仕事中に漏れが心配になる、経血量が多く貧血を指摘されている方では、ミレーナによって月経量の減少が期待できます。
②生理痛が強い方
毎月の月経痛で鎮痛薬を使っている方、痛みのために仕事や学校、家事に影響が出ている方では、月経困難症の治療としてミレーナを検討することがあります。
③低用量ピルの服用が難しい方
毎日薬を飲むのが難しい方、飲み忘れが心配な方、年齢や体質、既往歴などの理由でピルが使いにくい方にとって、ミレーナは別の治療選択肢になります。
④長期的に月経症状をコントロールしたい方
ミレーナは装着後、最長5年間効果が持続するため、頻回な通院や毎日の服薬を避けながら治療を継続したい方に向いている場合があります。
⑤将来的に妊娠を希望する可能性がある方
ミレーナは子宮を摘出する治療ではなく、必要に応じて除去することができます。除去後は妊娠を希望することも可能です。ただし、妊娠を希望する時期や年齢、婦人科疾患の有無によって適した治療は異なるため、医師と相談して方針を決めることが大切です。

ミレーナが向いていない方・注意が必要な方
ミレーナは有用な治療選択肢ですが、すべての方に装着できるわけではありません。
妊娠中または妊娠の可能性がある方、子宮内感染や骨盤内感染症がある方、原因不明の不正出血がある方、子宮頸がんや子宮体がんなどの悪性疾患が疑われる方、子宮の形に異常がありミレーナを正しい位置に留置できない方などでは、装着できないことがあります。
また、子宮筋腫や子宮腺筋症がある方でも、子宮の状態によってはミレーナが適している場合と、別の治療を優先した方がよい場合があります。症状だけで判断するのではなく、内診や超音波検査などで子宮の状態を確認したうえで判断します。
装着後に自然に脱出してしまうことや、位置がずれることもまれにあります。そのため、装着後は定期的に診察を受け、正しい位置にあるかを確認することが大切です。
ミレーナの効果

ミレーナの主な効果は、月経量の減少と月経痛の軽減です。装着後すぐに完全な効果が出るわけではなく、数か月かけて月経の状態が変化していくことが一般的です。
装着後しばらくは、不正出血が続いたり、少量の出血がだらだら続いたりすることがあります。これは装着初期にみられやすい変化で、多くの場合は時間の経過とともに落ち着いていきます。
月経量については、装着後に徐々に少なくなる方が多く、なかには月経がほとんど来なくなる方もいます。これは子宮内膜が薄く保たれることによる変化であり、異常とは限りません。ただし、不安がある場合や出血が長引く場合は、診察で確認することが大切です。
月経痛についても、子宮内膜の増殖が抑えられることで軽減が期待できます。毎月の鎮痛薬の使用量が減る方や、月経期間中の生活が楽になる方もいます。ただし、痛みの原因が子宮内膜症、子宮腺筋症、子宮筋腫などにある場合は、病状によって効果の出方が異なります。
ミレーナの避妊効果について
ミレーナには高い避妊効果もあります。子宮内膜を薄くする作用に加え、子宮頸管粘液の性状を変化させることで、精子が子宮内へ入りにくくなるとされています。
ただし、避妊目的のみで使用する場合は自費診療となります。一方、過多月経や月経困難症と診断され、治療目的で使用する場合には保険適用となることがあります。
また、ミレーナには性感染症を予防する効果はありません。性感染症の予防にはコンドームの使用が必要です。避妊と性感染症予防は別の問題として考える必要があります。
ミレーナ装着までの流れ

まずは診察で、月経の状態や症状について詳しく確認します。月経量、生理痛の程度、鎮痛薬の使用状況、貧血の有無、妊娠希望、これまでの治療歴などをお伺いします。
次に、内診や超音波検査で子宮や卵巣の状態を確認します。子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮内膜症、子宮内膜ポリープなどが疑われる場合は、必要に応じて追加の検査を行うことがあります。
ミレーナの適応があると判断された場合、装着の時期を相談します。一般的には月経中または月経直後など、妊娠していないことが確認しやすく、子宮口がやや開いている時期に装着することがあります。
装着は診察室で行います。子宮の向きや大きさを確認しながら、専用の器具を使ってミレーナを子宮内に挿入します。装着時には下腹部痛や生理痛のような痛みを感じることがあります。痛みの感じ方には個人差があり、軽い違和感程度の方もいれば、強い痛みを感じる方もいます。
装着後は、しばらく院内で体調を確認する場合があります。帰宅後に軽い出血や下腹部痛、腰痛が出ることがありますが、強い痛みや発熱、出血量が多い場合は早めにご連絡ください。
装着後の経過と定期検診

ミレーナ装着後は、正しい位置に入っているか、症状に問題がないかを確認するため、定期的な診察が必要です。
装着後しばらくは、不正出血が続くことがあります。少量の出血が長引いたり、月経周期が不規則になったりすることがありますが、時間の経過とともに落ち着くことが多いです。
一方で、強い腹痛、発熱、悪臭のあるおりもの、出血量が多い、急に痛みが強くなった、ミレーナが抜けたように感じるといった場合は、早めの受診が必要です。感染や脱出、位置異常などがないかを確認します。
ミレーナは装着後5年を超えないうちに除去または交換が必要です。治療を継続するか、交換するか、除去するかは、症状の改善状況や年齢、妊娠希望などを踏まえて相談します。
ミレーナの副作用・デメリット
ミレーナの装着後にみられやすい変化として、不正出血、月経周期の変化、下腹部痛、腰痛、頭痛、乳房の張り、にきび、気分の変化などがあります。
特に装着初期は、不正出血が続くことがあります。少量の出血が数週間から数か月続くこともあり、この時期に不安を感じる方もいます。ただし、時間の経過とともに出血量が減っていくことが多いため、気になる場合は診察時にご相談ください。
まれではありますが、骨盤内感染症、子宮穿孔、ミレーナの脱出、位置のずれ、卵巣嚢胞などに注意が必要です。強い腹痛や発熱、異常なおりもの、出血の増加などがある場合は、早めに受診してください。
また、ミレーナを装着していても妊娠する可能性はゼロではありません。装着中に妊娠が疑われる場合や、月経が遅れたうえで腹痛や出血がある場合は、子宮外妊娠などの確認が必要になることがあります。
ミレーナの費用
ミレーナは、使用目的によって費用が異なります。過多月経や月経困難症と診断され、治療目的で使用する場合は保険適用となることがあります。保険診療の場合、自己負担割合によって費用が変わります。また、診察料や検査費用が別途必要になる場合があります。
避妊目的のみでミレーナを使用する場合は、自費診療となります。避妊目的での費用は保険適用外となるため、事前に費用をご確認ください。当院では、診察のうえで治療目的に該当するか、自費診療となるかを確認し、費用についても事前にご説明いたします。
ミレーナと低用量ピルの違い
過多月経や月経困難症の治療では、低用量ピルが選択肢になることもあります。低用量ピルは内服薬であり、月経痛や月経量の改善、月経周期のコントロールなどに用いられます。
一方、ミレーナは子宮内に装着する医療機器で、毎日薬を飲む必要がありません。効果が長期間持続するため、飲み忘れが心配な方にはメリットがあります。また、ホルモンが主に子宮内で作用するため、内服薬とは異なる特徴があります。
ただし、ミレーナは装着時に処置が必要であり、装着後の不正出血や痛み、脱出などのリスクがあります。低用量ピルとミレーナのどちらが適しているかは、症状、年齢、喫煙の有無、血栓症リスク、妊娠希望、ライフスタイルなどによって異なります。
ミレーナを検討されている方へ
毎月の生理がつらい、月経量が多い、生理痛で生活に支障が出ているという状態は、我慢する必要のない症状です。過多月経や月経困難症は、適切な診断と治療によって改善が期待できます。
ミレーナは、長期的に月経量や月経痛を抑える治療選択肢の一つです。避妊器具として知られていますが、治療目的でも使用される医療機器であり、過多月経や月経困難症と診断された場合には保険適用となることがあります。
一方で、すべての方に合う治療ではありません。子宮の状態や症状の原因によっては、低用量ピル、漢方薬、鎮痛薬、鉄剤、手術療法など、別の治療が適している場合もあります。
当院では、患者さまのお悩みを丁寧に伺い、検査結果やライフスタイル、今後の妊娠希望も踏まえて、適した治療方法をご提案いたします。月経量の多さや生理痛でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
ミレーナのよくある質問
Q1. ミレーナは避妊目的ではなく、生理の治療として使えますか?
はい。ミレーナは避妊目的だけでなく、過多月経や月経困難症の治療として使用されます。子宮内膜の増殖を抑えることで、月経量の減少や生理痛の軽減が期待できます。治療目的で使用する場合は、診察によって保険適用となることがあります。
Q2. ミレーナを入れると生理は完全になくなりますか?
ミレーナ装着後、月経量が大きく減る方は多く、なかには月経がほとんど来なくなる方もいます。ただし、すべての方で完全に生理がなくなるわけではありません。装着後しばらくは不正出血が続くこともあり、経過には個人差があります。
Q3. ミレーナの装着は痛いですか?
装着時には、生理痛のような下腹部痛や違和感を感じることがあります。痛みの程度には個人差があり、軽い痛みで済む方もいれば、強く感じる方もいます。痛みが心配な方は、事前の診察時にご相談ください。
Q4. 出産経験がなくてもミレーナは装着できますか?
出産経験がない方でも、子宮の状態や症状によってはミレーナを検討できる場合があります。ただし、子宮口の状態や子宮の大きさ、痛みの感じやすさなどを考慮する必要があるため、診察で適応を判断します。
Q5. ミレーナを外した後に妊娠できますか?
ミレーナは除去することができる医療機器です。除去後は妊娠を希望することも可能です。ただし、年齢や婦人科疾患の有無、排卵状態などによって妊娠しやすさは異なります。将来的に妊娠を考えている方は、装着前に医師へご相談ください。
